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配信のくじ・抽選を、公平に見せるための考え方
配信で抽選をするとき、本当に気をつけたいのは、確率の計算よりも、「見ている人が、公平だと思えるかどうか」です。実際に公平でも、やり方が見えなければ、疑う人は出ます。この記事では、乱数と手動の違い、決め方を先に伝えること、やり直しの条件の決め方を、順番に説明します。なお、この記事は、お楽しみの範囲の企画だけを対象にしています。金銭や、高額な景品が絡む抽選は、扱いません。
この記事が扱う範囲
最初に、範囲をはっきりさせます。この記事で扱うのは、配信の中で行う、お楽しみの抽選です。一緒にゲームをする人を決める、質問を読む人を決める、今日の雑談のお題を決める、といった場面です。お金や、金券、換金できるもののやり取りが絡む抽選は、扱いません。そうした抽選には、景品に関する法律や、各サービスの規約が関わるため、一般的な説明では足りないからです。そのような企画を考えるときは、法令や、配信サイトの規約を、直接確認してください。
このサイトの抽選ツール(参加者抽選ルーレット、配信用くじ)も、お楽しみ用として作られています。金銭や、高額な景品を扱う用途は、想定していません。
「公平」には、2つの意味がある
公平という言葉は、2つの意味で使われます。1つは、「全員に、同じ確率で当たるチャンスがある」という、仕組みの公平です。もう1つは、「見ている人が、そう信じられる」という、見え方の公平です。
この2つは、別のものです。仕組みが公平でも、見え方が悪ければ、「どうせ、決まっていたのでは」と疑われます。反対に、見え方がよくても、仕組みに偏りがあれば、公平とは言えません。配信で目指すのは、両方を満たすことです。仕組みの公平は、ツールや、やり方の選び方で決まります。見え方の公平は、事前の告知と、画面の見せ方で決まります。
乱数と手動の違い
抽選の方法は、大きく分けて、機械に任せる方法と、人の手で行う方法があります。
| 乱数(ツールなど) | 手動(紙のくじ、手で引く) | |
|---|---|---|
| 仕組み | プログラムが、乱数を使って1つを選ぶ | 人が、混ぜて、引く |
| 偏りの出方 | 参加者を同じ数だけ入れれば、確率は等しい | 混ぜ方や、折り方で、偏る可能性がある |
| 見え方 | 中身が見えにくい。画面の演出が必要 | 手元がカメラに映れば、分かりやすい |
| 手間 | 少ない | 準備に時間がかかる |
| やり直しの記録 | 画面に残しやすい | 記録を別に取る必要がある |
乱数による抽選は、ふつう、人の癖が入りません。たとえば、人が手でくじを引くと、「手前のくじを取りやすい」といった癖が出ることがあります。ツールなら、そうした癖はありません。一方で、ツールの中で何が起きているかは、見ている人には分かりません。そのため、「操作する人が、結果を操作できるのでは」と思われる余地が残ります。
手動の抽選は、仕組みが目に見えるという良さがあります。紙を折る、箱に入れる、混ぜる、引く。この一連の動作が映れば、疑いは出にくくなります。ただし、配信では、紙の準備や、名前の書き写しに、手間がかかります。
どちらが優れているというより、企画の規模と、見せ方で選ぶものです。少人数で、手元をカメラで映せるなら、手動でも構いません。人数が多い、あるいは画面の中で完結させたいなら、ツールが向いています。
ツールの抽選が、何をしているか
このサイトの参加者抽選ルーレットは、画面をクリックした瞬間に、残っている参加者の中から、同じ確率で1人を選びます。その後に名前が切り替わっていく表示は、演出です。止まる名前は、押した時点で、すでに決まっています。切り替わりの途中で、ほかの名前が見えても、それが当たりに近かった、という意味ではありません。
このことは、視聴者に聞かれたら、そのまま説明できます。「押した瞬間に決まっていて、あとの表示は演出です」と伝えるだけで、「止まる直前で操作されるのでは」という疑いは、薄れます。
もう1つ、知っておきたいのは、同じ名前を2回書くと、その人は2口分として扱われることです。意図せず重複が入ると、その人だけ、当たる確率が2倍になります。抽選の前に、名前の一覧を見て、重複がないか確かめてください。意図して口数に差をつける企画は、金銭が絡む可能性があるため、この記事の範囲を超えます。
決め方は、抽選の前に告知する
公平に見せるうえで、最も効果が大きいのは、決め方を先に伝えることです。結果が出てから、「実は、こういう方法で決めました」と説明しても、後付けに聞こえます。抽選の前に、次の項目を、視聴者に伝えておきます。
- 誰が対象か(コメントした人全員か、フォロワーか、募集時間内に応募した人か)
- いつまでに応募すれば対象になるか(締め切りの時刻)
- 何を使って選ぶか(ツール名、または、手動の方法)
- 何人選ぶか。当選した人は、次の抽選から外れるか
- 当選の連絡は、どのようにするか(配信内で名前を呼ぶ、など)
- 当選者が反応しないときは、どうするか(やり直しの条件)
これを、配信の概要欄や、画面のテロップ、あるいは告知の投稿に、書いておきます。流れる告知テロップで、毎回同じ文を出し続ける方法もあります(告知ティッカー)。「当選の決め方は、画面の抽選ツールで、全員に同じ確率です」のような一文があるだけで、安心感は違います。
応募者の名前を、見せてから選ぶ
抽選の直前に、応募者の一覧を画面に映します。ツールの入力欄をそのまま映すか、別のメモを画面に出して、読み上げます。これには2つの効果があります。1つは、自分の名前が入っているか、本人が確かめられることです。もう1つは、配信者が、特定の人を、後から追加していないことが、見て分かることです。
名前の入力は、抽選の直前ではなく、受付が終わった時点で行うのが基本です。その後で、名前を足すと、「あとから入れたのでは」と疑われます。受付を締め切ったら、一覧を確定させ、確定後は変更しないと決めます。もし、名前の誤りが見つかった場合は、その場で理由を説明して、直します。
やり直しの条件を決めておく
抽選のやり直しは、原則として、避けるものです。結果が気に入らないから、やり直すのでは、抽選の意味がなくなります。ただし、やり直さざるを得ない場面もあります。そこで、やり直す条件を、先に決めて、伝えておきます。
| 場面 | やり直すか | 考え方 |
|---|---|---|
| 当選者が、配信にいない、返事がない | やり直す | 待つ時間を決めておく。過ぎたら、次の抽選を行う |
| 当選者が、参加の条件を満たしていなかった | やり直す | 条件を事前に告知していれば、理由を説明できる |
| 操作を間違えて、別の画面で引いてしまった | 状況による | 応募者に事情を伝え、了解を得てから行う |
| 結果が、配信者の好みでない | やり直さない | やり直すと、公平さが失われる |
| 同じ人が、続けて当たった | やり直さない | 確率の上では、起こりうること。外す設定があれば、それを使う |
最後の2行が大切です。「同じ人が続けて当たった」ときは、偏りを疑う声が出がちですが、独立した抽選では、続くことはあります。それでも気になるなら、当選した人を次から外す設定を使う、というルールを、最初から決めておきます。参加者抽選ルーレットは、初めの設定で、当選した人が次の抽選から外れます。
当選者を、次から外すか
当選者を外すかどうかは、企画の目的で決めます。多くの人に機会を回したいなら、外します。「誰にでも、毎回チャンスがある」ことを重視するなら、外しません。どちらも間違いではありませんが、告知と食い違うと、不満が出ます。
外す設定にした場合は、全員が当選した後の扱いも決めておきます。参加者抽選ルーレットでは、全員が当選すると、「もう全員当選しました」と出ます。その後も続けるなら、当選の記録を消して、全員を対象に戻します。記録を消す操作は、画面のボタンか、キーボードのRを、短い間に2回押す操作です。誤って押さないよう、2回押す作りになっています。
演出と公平さは、別の話
抽選ツールの演出は、盛り上げのためのものです。名前が切り替わっていく、止まる直前にゆっくりになる、といった動きは、結果を左右しません。ただし、見ている人は、演出の長さや間の取り方から、「いま何か操作しているのでは」と受け取ることがあります。演出が長すぎると、緊張感が出る反面、途中でやり直したくなる誘惑も生まれます。演出の途中では、画面から手を離し、結果が出るまで何も触らない、と決めておくと、見ている側にも伝わります。
また、抽選の画面は、配信者が見ているものと、視聴者が見ているものが、同じであることが大切です。配信者の手元だけに、別の画面が出ていると、「裏で何か見ているのでは」と思われます。抽選に使う画面は、OBSの配信画面にそのまま映る形で、使うのが基本です。
抽選の記録を残す
抽選のあとは、結果を、どこかに記録しておくと、あとで「前回は誰が当たったか」を確かめられます。参加者抽選ルーレットは、当選者の記録をブラウザの保存領域に残し、画面には直近の12人を出します。ただし、保存領域は、OBSに組み込まれた側と、日ごろ使うブラウザ側で、分かれていることがあります。確実に残したいなら、配信後に、画面を見ながら、別のメモに写しておくほうが確実です。
記録には、日付、企画の名前、選んだ方法、結果、やり直した場合はその理由を書きます。あとから「あの抽選は、どうして、やり直したの」と聞かれたときに、答えられます。個人を特定できる情報は書かず、表示名だけにとどめます。
小さな企画に当てはめた例
たとえば、「今日、一緒にゲームをする人を1人決める」という企画を考えます。配信の最初に、「開始から20分間にコメントをくれた人の中から、抽選で1人選びます。選び方は、画面の抽選ツールで、全員に同じ確率です。当選した人が、5分以内に反応しなければ、もう一度、抽選します」と告知します。20分後に受付を締め切り、名前を入力して、画面に映します。重複がないか確かめてから、クリックします。当選者を呼び、反応がなければ、約束どおり、もう一度引きます。
この流れでは、対象、締め切り、選び方、やり直しの条件の4つが、すべて、抽選の前に伝わっています。特別な技術は何も使っていませんが、疑われにくい形になっています。
よくある失敗
| 失敗 | なぜ疑われるか | 対策 |
|---|---|---|
| 決め方を、抽選の後で説明した | 後付けに聞こえる | 応募の受付の前に、告知する |
| 名前の一覧を、見せなかった | 全員が入っているか、分からない | 抽選の直前に、一覧を映す |
| 応募の締め切り後に、名前を足した | 特定の人を入れたように見える | 締め切り後は、一覧を変えない |
| 重複した名前が入っていた | 特定の人の当選確率が、高くなる | 確定前に、重複を確かめる |
| 結果が気に入らず、何度も引いた | 操作されていると見える | やり直す条件を、先に決める |
| 当選者への連絡方法が決まっていない | 当選が、有効かどうか分からない | 連絡の方法と、待つ時間を伝える |
当選した人・落選した人への配慮
抽選では、当たる人より、外れる人のほうが多くなります。外れた人が気持ちよく見続けてくれるかは、配信の雰囲気に関わります。落選した人には、「また次回も、お待ちしています」と声をかけます。当選者の名前を呼ぶときは、表示名のまま読み上げ、個人を特定できる情報には触れません。
また、当選者に何かを送る企画では、住所などの個人情報を、配信やコメント欄で、やり取りしてはいけません。この記事の範囲では、そのような企画は扱いませんが、念のため、配信の中で個人情報を集めない方針を、はっきり決めておいてください。
抽選の前後のチェックリスト
- 対象、締め切り、選び方、人数を、抽選の前に告知した
- お金や、換金できるもののやり取りが、含まれていない
- 応募者の名前に、重複がないか確かめた
- 締め切り後は、一覧を変えないと決めた
- 抽選の直前に、応募者の一覧を画面に映した
- 当選者が、次の抽選から外れるかを、伝えた
- やり直しの条件(返事がない場合の待ち時間など)を、伝えた
- 当選の連絡の方法を決め、個人情報をやり取りしない方針を確認した
- 落選した人にも、次回の案内を用意した
最後に、抽選を行う頻度についても触れておきます。毎回の配信で抽選を入れると、視聴者が「抽選目当て」で集まるようになり、配信本来の雰囲気が変わることがあります。抽選は、企画の一部として、たまに入れるくらいが、続けやすい形です。また、参加者の年齢が分からない配信では、景品の有無にかかわらず、未成年の視聴者がいる前提で、内容を考えておくと安心です。
まとめ
抽選を公平に見せるには、仕組みの公平と、見え方の公平の、両方が要ります。乱数のツールは、確率を等しくする助けになりますが、見え方は、事前の告知、名前の一覧の提示、やり直しの条件の説明で作ります。結果が出てから説明するのではなく、先に決めて、先に伝える。この順番を守るだけで、疑いの多くは、防げます。