宛名シールを1枚ずつ手で貼るのをやめた日
町内会の回覧板と、子どものPTAの案内。年に何度か、同じ100件ほどの名簿に宛名シールを貼る作業が回ってくる。手で貼っていたころの話と、そこから作ったツールの話を書く。
シールの束と、名簿のExcel
机の上には、いつも同じ2つが並んでいた。班長から配られた宛名シールの束と、前任者から引き継いだ名簿のExcelファイル。
シールは12面や24面のA4用紙で、1枚に十数件分の枠が印刷されている。名簿は100件ほど。単純に割ると8〜9枚で足りる計算だが、実際にはそう簡単にいかなかった。
まず、名簿のExcelには住所が1つのセルにまとまって入っている。「東京都渋谷区渋谷1-2-3」のように、都道府県から番地まで全部つながっている。これをシールの枠に手で書き写す。1件ずつ、シールを台紙から剥がして、位置を合わせて、貼る。100件やると、指先が荒れる。
差し込み印刷を試したが、続かなかった
次の年、Wordの差し込み印刷を試した。名簿をExcelから読み込んで、ラベル用のテンプレートに流し込む機能がある。理屈のうえでは、これで解決するはずだった。
実際にやってみると、うまくいかない箇所がいくつも出てきた。
- 面付けのテンプレートが、手元の用紙と合わない。Wordに用意されている型番と、実際に買ったシールのメーカー・面数が一致しないことがあった。1mmずれるだけで、印刷したときに隣の枠にかかる。
- 使いかけの用紙が無駄になる。前回3枚だけ使って残った用紙は、4面目から使いたい。しかし差し込み印刷は基本的に1面目から詰めて配置するので、余った面をそのまま捨てるか、位置をずらす操作を毎回調べ直す必要があった。
- 敬称の付け方がバラバラになる。名簿の「氏名」列には、様が付いている行と付いていない行が混ざっている。会社名の行に様を付けてしまったこともある。
年に数回しか使わない機能だから、毎回操作を忘れている。結局、差し込み印刷の設定を思い出すだけで小一時間かかり、翌年にはまた忘れている。この繰り返しだった。
気づいたのは「毎年同じところで詰まっている」ことだった
ある年、また同じ場所でつまずいたときに、詰まっている場所が毎回同じだと気づいた。
面付けのサイズが合わない。使いかけの用紙を活かせない。敬称の付け忘れと付けすぎが起きる。この3つだけを先につぶしておけば、差し込み印刷の複雑な機能を毎回覚え直す必要はない。
会社のツール置き場(kamitool)には、すでに住所を都道府県・市区町村・番地に分けるツールと、名前に様・御中を自動で付けるツールがあった。この2つの続きとして、「印刷するところまで」を1枚のページにまとめることにした。
実際にどう動くか
名簿をタブ区切りで貼り付けると、その場でA4サイズのプレビューが画面に出る。
| 貼り付ける内容 | そのまま出力される内容 |
|---|---|
150-0002 東京都渋谷区渋谷1-2-3 山田太郎 | 〒150-0002 / 東京都渋谷区渋谷1-2-3 / 山田太郎 様 |
1000001 東京都千代田区千代田1-1 サンプル株式会社 | 〒100-0001 / 東京都千代田区千代田1-1 / サンプル株式会社 御中 |
「様」と「御中」の判定は、会社や団体を表す言葉(株式会社・銀行・学校など)で終わるかどうかで自動的に分けている。これは名前に様・御中を付ける既存のツールと同じ辞書をそのまま使っている。1つの辞書を2つのツールで使い回しているので、どちらか一方だけ判定がずれる、ということが起きない。
使いかけの用紙は「何面目から使うか」で解決した
差し込み印刷でいちばん困っていた「使いかけの用紙」には、開始位置を指定する欄を作った。3面まで使用済みなら「4」と入れると、1〜3面目を空欄のまま飛ばして4面目から印刷される。特別な機能ではないが、この1つがあるかないかで、用紙を無駄にする頻度がまったく変わった。
面付けのサイズは「目安」と、正直に書いた
面付けのテンプレートがずれる問題は、正直に言うと完全には解決していない。ラベル用紙は同じ「24面」でもメーカーによって数ミリ違うことがある。だから、このツールでは12・24・44・65面の目安の数値をあらかじめ用意しつつ、列数・行数・幅・高さ・間隔のすべてを自分で数値を書き換えられるようにした。目安が合わなければ、パッケージに書かれた実寸に合わせて直せばいい。
できないことを「できる」と書かないようにした。合わないラベル用紙は、実際に何種類も持っている。全部のメーカーに自動で合わせる方法は、今のところ見つけていない。
ここで書いたツールを、実際に試す
宛名ラベルを一括印刷する作ってみて変わったこと
今年の分は、名簿を貼り付けてから印刷まで10分もかからなかった。指先も荒れていない。
それより変わったのは、来年もう一度この作業をするときに、何も思い出さなくてよくなったことだ。差し込み印刷の設定を毎年忘れて調べ直す、という繰り返しがなくなった。ページを開けば、去年と同じ手順がそこにある。
よくある質問
Wordの差し込み印刷ではだめなのですか?
差し込み印刷自体はよくできた機能です。ただ、年に数回しか使わない人にとっては、毎回の設定を覚え直すコストの方が大きくなりがちでした。このツールは、その「思い出す手間」を減らすことだけを目的にしています。
会社名にも様が付いてしまうことはありませんか?
「株式会社」「銀行」「学校」などで終わる名前は自動で御中に振り分けます。「〜部」「〜会」のように判断が難しい語尾は、御中にしたうえで確認が必要な行として表示されるので、見た目で気づけます。
ラベル用紙のサイズが合わないときは?
面付けの数値(列数・行数・幅・高さ・間隔)をすべて書き換えられます。お使いの用紙のパッケージに書かれた実寸に合わせて調整してください。
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